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パナソニックオープン大会レポート① [大会初日]

かつて日本オープン、関西オープンなど歴史ある大会を開催してきた有馬ロイヤルゴルフクラブ(兵庫県神戸市)に舞台を移した今年のパナソニックオープンは、初日(2024年9月19日)から壮絶なスコアの伸ばし合いとなった。

首位には自己ベストの11アンダー61をマークした宋永漢が飛び出し、今季の好調を維持している平田憲聖が1打差の2位でピタリ追走。
単独の3位には4番でホールインワンを達成した清水大成が9アンダーでつけている。
関西大学4年のアマ真鍋和馬も5アンダー21位タイとまずまずのスタート。
ディフェンディングチャンピオンの大槻智春は石川遼とともに2アンダー66位タイとやや出遅れた。
有馬ロイヤルGC所属の松本凌は、1アンダーの86位タイ。2日目以降の巻き返しを狙う。

 

真鍋和馬

関西大学4年のアマチュア、真鍋和馬が「80点」の自己採点ながら、並み居るプロに混じって5アンダーの好スタートに成功した。
184センチの長身から繰り出されるドライバーがこの日は冴えた。
プロの多くがレイアップ中心のコースマネジメントで好スコアにつなげる中、“恐怖のラフ”にも物怖じせずに、ドライバーを振りぬき、ことごとくフェアウエーをとらえていった。
3番では8番アイアンで手前5メートルにつけバーディーを先行させると、7番のパー5(525ヤード)では5番アイアンで2オンに成功。6メートルから2パットで楽々バーディーを奪った。
9番のパー4も残り130ヤードをピッチングウェッジで打って3メートルにピタリ。これも難なく沈めてバーディー。
アウトを33で折り返すと、15番のパー5でもグリーンエッジから直接叩き込むバーディーをもぎとり、17番では12メートルのロングパットを1発。
5バーディー、ノーボギーの67ながら「6(アンダー)か7くらいは行けた感じでした」とやや不満の残る内容だったことを明かしている。

すでに日本プロゴルフ協会の資格認定プロテストに合格しており、来年の1月1日からは晴れてプロゴルファーとなる真鍋。
「JGTOのQTも受けます」と語る真鍋にとって、キャディーのアルバイトをしながら「これまで3、40回くらいはラウンドしている」ロイヤルコースは、自分の庭も同然。
先輩プロたちに気兼ねをする必要など、さらさらない。
2日目、さらなる上昇劇の予感は十分だ。

 

松本凌

開催コースである有馬ロイヤル所属の松本凌にとってプロデビュー初日は、ほろ苦いものとなった。
緊張感に苦しみながらも、無難な滑り出しを演じて8番で1.5メートルを沈めてバーディーが先行。10番でもバーディーを重ねて迎えた12番のパー5に落とし穴が待っていた。
右のラフから「無理して打った」2打目が左にOB。痛恨のダブルボギーを叩いてしまった。

それでもパーを重ねて迎えた最終18番では第2打をバンカーに入れながら、約15ヤードのこのショットを直接カップインさせるバーディー。苦しいラウンドながら、明日の巻き返しにつながる形でホールアウトした。
この日、応援に駆け付けていたのが、一足早くプロへの道を進んだ松本珠利。凌が10歳、珠利が8歳の同時期にゴルフを始めたという。その後凌は関西大学卒業後一度IT企業に就職したが、妹のプロ合格に刺激を受けてプロに挑戦し、この日のデビューにつなげている。
猛暑の中、懸命の応援に駆け付けている妹のためにも、2日目は何としても反撃に出たいところだ。

 

首位スタートの宋は刻み倒して11バーディー

フェアウエーを外せば“恐怖のラフ”が待っている。その地獄を徹底したレイアップ作戦で克服して見せたのが宋永漢。
「11、12番が5W、3番が3W、5、7番が5W、8番が4U」と、ティーショットでレイアップした6ホールを順にスラスラと振り返った。
刻みに徹してものにした初日トーナメントリーダーの座。果たしてどこまでバーディーやイーグルを積み重ねていくのか、2日目以降のチャージにも期待がかかる。

 

ホールインワンを演じた清水大成

清水が初日の4番ホール7番アイアンでホールインワン。
2バウンドしてカップインするシーンも目撃して「うれしかった~」と笑顔を浮かべた。というのも、清水にとってはこれが初体験。「ずっとやりたいと思っていて」ようやく達成とあって「すごい興奮しました」と感慨ぶかげ。
ツキも味方しての単独3位。優勝への手ごたえも、この1発でしっかりとつかんだ様子だった。

 

 

取材▪構成=日本ゴルフジャーナリスト協会会長▪小川朗